Breeder's Cup

 11/3日(日本時間11/4早朝)、アメリカ・チャーチルタウンズ競馬場で世界最大の競馬の祭典「ブリーダーズカップ」が開催された。
 予想を含めた戦前雑感でも書こうかと思ったけど、諸事情により書けず。メインのBCクラシックの勝ち馬が予想通りだっただけにちょっと残念だがまあそれはそれ。

・BCジュヴェナイルフィリーズ(2歳牝:ダート8.5F)
 ここまで無敗のドリーミングオブアンナ Dreaming Of Annaが1番人気に応えて押し切る。例年順当に収まるこのレース、今年も波乱無く終わった。これでいいような面白くないような。

・BCジュヴェナイル(2歳牡・セン:ダート8.5F)
 前走のブリーダーズフューチャリティ(GI)で敗れたものの、GI1勝を含む4戦3勝のサーキュラーキー Circular Quayが1番人気。
 だが、レースを制したのは伏兵ストリートセンス Street Sense。Circular Quayを10馬身突き放す圧勝で、重賞初勝利をGIで飾った。
 ただこのレース、勝ち馬は将来大成しないというジンクスを抱えており、逆に負けた馬の中に後の名馬が隠れていたりする。今年の場合はどうなのだろうか。

・BCフィリー&メアターフ(3歳以上牝:芝11F)
 圧倒的1番人気に推された欧州女王・ウィジャボード Ouija Boardが人気通りに快勝。これで通算してGI7勝目。昨年の雪辱を晴らすべくジャパンカップ参戦するのか、その動向が注目される。
 上位入線馬も軒並み上位人気馬で、全体的に順当に収まった印象。アメリカ競馬は牝馬で波乱というのはあまりないのだろうか。

・BCディスタフ(3歳以上牝馬:ダート9F)
 と思ったら、ここまで8連勝中で抜けた人気だったフリートインディアン Fleet Indianがまさかの競走中止。
 おまけに2着入線のアシシエンプレ Asi Siempreが4着に降着と、波乱に満ちた結果となった。
 勝ったラウンドポンド Round Pondは昨年のエイコーンS(GI)の覇者。今回は後続に4馬身半差で快勝したものの、印象がすっかり薄くなった格好となった。

・BCスプリント(3歳以上:ダート6F)
 毎年波乱の結果となるこのレース。1番人気がポンポン飛び、伏兵がズドンと穴を開ける。
 今年はどうなのか、と思われたが。
 ここまで9戦6勝、GI2勝で圧倒的な1番人気に推されていたヘニーヒューズ Henny Hughesがこともあろうかシンガリ負け。
 勝ったのはこれが重賞初制覇となった7番人気ソーズエコー Thor's Echo。2着には13番人気フレンドリーアイランド Friendly Island、3着には9番人気ナイトメアアフェアー Nightmare Affairが入り、今年もまた大波乱の結果に。

・BCマイル(3歳以上:芝8F)
 抜けた存在がおらず波乱が予想されたが、やはりと言おうか。
 勝ったのは10番人気の7歳馬ミエスクズアプルーヴァル Miesque's Approval。マイルCSに参戦予定(回避)だったアラゴーン Aragornを豪快に差しきっての勝利だった。
 日本産馬サイレントネーム Silent Nameは6着。

・BCターフ(3歳以上:芝12F)
 実績を評価されハリケーンラン Harricane Runが1番人気に推されるも、「劣化モンジュー」と揶揄されるのも納得できるほど、その道程が父モンジューに似通っているこの馬。現に連覇を狙った凱旋門賞は父と同じく4着。次走に英チャンピオンSを選んだところまで一緒だが、ここも父同様に敗戦。もしかして今回も……。
 全くもってその通りだった。
 後方からレースを進めるも最後伸びを欠き6着。ここまで戦跡が酷似した親子というのも珍しい。
 勝ったのは唯一の3歳馬レッドロック。やはり斤量の差は大きいのか。

・BCクラシック(3歳以上:ダート10F)
 近年最高といえる、豪華なメンバーが揃った。
 プリークネスS(GI)から破竹の6連勝で断トツ人気に推されたバーナーディニ Bernardini、UAEダービー(GII)4着が唯一の敗戦、無敗で制したウルグアイ3冠に加えて移籍後のアメリカでGI3つをぶっこ抜いたインヴァソール Invasor、怒涛の5連勝で今季負け無しのラヴァマン Lava Man。アメリカのトップ3が見事に居並んだ。
 そこにパーフェクトドリフト Perfect DriftやジャコモGiacomoといった古豪や、クラシック前は有力候補と騒がれていたブラザーデレク Brother Derekが挑む構図。
 欧州からは、前哨戦惨敗でディラントーマスが戦線離脱したものの、今年の2000ギニー馬ジョージワシントン George Washington、GI2勝のデヴィッドジュニア David Juniorの両騎が参戦。
 ここにバーバロ(今年のケンタッキーダービー馬。プリークネスSのレース中に故障)が居たら……と考えるのは贅沢なのだろうか。
 この大一番、制したのはInvasor。逃げ込みを図るBernardiniをゴール前で捉え、1馬身突き放したところがゴールだった。
 Lava Manは7着。初のダートだったGeorge Washingtonは6着。David Juniorは最後の直線で競走中止、という結果になった。

 確かに凱旋門賞は、伝統に支えられて「世界最高峰」と言われ続けている。しかし、厳密にはヨーロッパ大陸の外にタイトルが持ち帰られたことが無い「欧州最高峰」のレースなのだ。それを示すかのように、近年はアメリカからの参戦馬は途絶えている。そればかりか、日本以外の他地域からの参戦自体が皆無なのである。
 ブリーダーズカップは金満体質に支えられたお祭り、と揶揄する声もあるかもしれないが、興行的だけでなく、レースそのものの質を向上させるのにも成功している。世界各地域から続々とトップホースが参戦し、毎年その超高額な賞金を巡って激しい鍔迫り合いが繰り広げられている。
 いや、最早賞金は付加的要素なのかもしれない。高額賞金をちらつかせて馬を招致せずとも、年月を経て築かれたレースの質が出走馬を集めているのだ。賞金額と格式が主従逆転した格好である。
 アメリカに欧州馬が太平洋を越えて乗り込むことはあっても、その逆というのは殆ど無い。伝統だけでレースを支えていける時代は、もしかするともうとっくに終焉したのかもしれない。
 

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