物騒ですなあ

俺の会社はテナントビルの中にある。共用部分、つまり廊下やトイレなどは、外部委託の清掃会社が入っていて、ほぼ毎日掃除をしている。
いつもは推定50代のちっこいおばちゃんが掃除をしているんだけども、今日に限って30代と思しき男性がやってきたわけだ。
おばちゃんのピンチヒッターかな、くらいに考えて、すぐに忘れ去っていたのだけれども。
その存在を思い出したのは夕方のこと。別のフロアに入っている関連会社の人が事務所にやってきて、こんなことを訊いてきたわけだ。
「今日って、トイレ掃除の人、若い男の人じゃなかった?」

曰く、ある女性が用を足し終えて個室のドアを開けたら、何かに「ゴン」とぶつかる音と衝撃があったという。
恐る恐る扉の向こう側を見やると、清掃会社の作業服を着た件の男性が、床に這いつくばった体勢でそこにいた、というわけで。
何をしているのかと問い質すと、
「中に人がいるかどうか確認しようと思って」
という、なんともふるった答えが返ってくる。誰か中にいると思ったんなら、フツーはノックして確かめんだろ。何で下から覗こうとするよ?
と、ここまでが事件の概要だけど、これを聞いて一つ頭に疑惑が浮かんだ。

この男、本当に清掃会社の従業員だったのだろうか?
いや、以前は従業員だったのかもしれない。
だが、こっそり作業着を拝借したまま退職していたとしたら?

俺の会社が入っているテナントビルは、とんでもなくセキュリティが緩い。
一応セコムと契約していて、各事務所は施錠してしまえば第三者の闖入を防ぐことができる。正面玄関は18時半にはシャッターが下りるし、裏側の通用口も20時にオートロックがかかって、カードキーが無ければ中に入ることができない。
しかし。
昼間は誰でも入れてしまう。入り口に守衛も居なければ入館の手続きも必要がない。中にはいってしまえば、部外者なのか関係者なのかすら見分けがつかない。それこそ清掃会社の作業着など着ていようものなら「ああ、掃除会社の人か」で済んでしまう。ビルも入居者の意識も、どうしようもなく緩いのである。

で、このビルのトイレ。以前にも、女子トイレでトイレットペーパーが残らず引き出され、ほどいた毛糸を巻くようにぐるぐるになった状態で発見されるという悪戯が発生している。(これはいつどこの誰がやったのか皆目見当がついていない)
先程も述べたように、ビルを巡回する警備員がいるわけじゃないので、ちょっと奇行に走りたい時にはフラっと中に入り込んで事に及ぶことが可能な環境なのである。

さて、次はどんな変質者が現れるやら。
男子便所の個室で、鍵もかけず全裸で用を足している痴女とか……て、もうそれ変質者じゃなくて精神異常者だよね。うん、美人でもやだそんなの。

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