もしかするとダービーはオルフェーヴル切るかもしれん

平成に入って初となる東京での皐月賞は、4番人気オルフェーヴルの圧勝に終わった。
勝ちっぷりは強かった。けども、馬体が妙にコロッコロしている。確かにダービーはマイラーっぽい馬が直線だけの競馬で突っ込んでくることも多いレースだけど、安直にこいつと心中というのもいかがなものかと。
馬体云々は抜きにして、ちょっと過去のデータを検証してみる。



皐月賞の施行条件が中山2000で固まった1949年以降、代替開催として東京で皐月賞が行われたのは今回を含めて7回。
内訳は、中山改修による代替が3回、ストによる順延が3回、そして今回の震災である。
これらのデータを眺めると、ちょっと面白い事実が見えてくる。

「東京で皐月賞が行われた年の3歳馬(旧4歳)から、後世に名を残すような名馬が出現する」
というジンクスがある。中山に移る前まで遡っても、確かにそのジンクスは当てはまるようだ。
以下、該当年に出現した代表的な名馬を列挙してみる

1943年→クリフジ(変則クラシック三冠 ※顕彰馬)
1944年→カイソウ(ダービー1着、菊花賞レース不成立の「幻の二冠馬」)
1947年→トキツカゼ皐月賞、オークス ※顕彰馬)
1948年→ミハルオー(ダービー、天皇賞)
1956年→ハクチカラ(ダービー、天皇賞、有馬記念 ※顕彰馬)
1963年→メイズイ皐月賞、ダービー)
1964年→シンザン牡馬クラシック三冠、天皇賞、宝塚記念、有馬記念 ※顕彰馬)
1974年→キタノカチドキ皐月賞、菊花賞、阪神3歳S)
1976年→トウショウボーイ皐月賞、宝塚記念、有馬記念 ※顕彰馬)
1988年→オグリキャップ(有馬記念2回、マイルCS、安田記念 ※顕彰馬)

錚々たる顔ぶれである。顕彰馬実に6頭が、この年に明け3歳を迎えている。
リスト中、太字にしたのはその年の皐月賞の覇者だ。いずれも皐月賞で人気を集め、見事にその期待に応えている。
��トウショウボーイとメイズイのみ2番人気、他は全て1番人気)

ここに名の上がらなかった当該年の皐月賞馬は、いずれも3番人気以下(馬券発売がなかった'44年を除く)。
戦後に限れば、'48年のヒデヒカリは6番人気、'56年のヘキラクは7番人気、'88年のヤエノムテキに至っては9番人気という伏兵扱いであった。
そしてこの5頭は、その後のクラシックロードでは良績を上げるに至らなかった。

1943年 ダイヱレク……ダービー、菊ともに不出走
1944年 クリヤマト……ダービー4着、菊不出走
1948年 ヒデヒカリ……ダービー12着、オークス2着(この組唯一の、皐月賞以外でのクラシック連対)
1956年 ヘキラク……ダービー3着、菊4着
1988年 ヤエノムテキ……ダービー4着、菊10着(古馬になって天皇賞・秋制覇)

対照的に、人気サイドの皐月賞馬はというと

1947年 トキツカゼ……ダービー2着、オークス1着
1963年 メイズイ……ダービー1着、菊6着
1964年 シンザン……ダービー1着、菊1着(三冠達成)
1974年 キタノカチドキ……ダービー3着、菊1着
1976年 トウショウボーイ……ダービー2着、菊3着

メイズイの菊着外があったり、トウショウボーイが残り二冠を落としはしているが、すべての馬が他のクラシックのいずれか(あるいは全て)でしっかり馬券に絡んでいる。
人気となるボーダーラインは3番人気。これを境にその後の明暗がくっきり別れている。

今度は別な角度からデータを、戦後の8回に限定して眺めてみる。
皐月賞で一番人気だった馬の、その後のクラシックロードでの蹄跡である。
それぞれのレースでの人気も付記しておく。

1947年 1番人気トキツカゼ(皐月1着)……ダービー2人2着、オークス1人1着
1948年 1番人気ミハルオー(皐月3着)……ダービー1人1着
1956年 1番人気キタノオー(皐月2着)……ダービー1人2着、菊1人1着
1963年 1番人気グレートヨルカ(皐月2着)……ダービー2人2着、菊3人1着
1964年 1番人気シンザン(皐月1着)……ダービー1人1着菊2人1着
1974年 1番人気キタノカチドキ(皐月1着)……ダービー1人3着、菊1人1着
1976年 1番人気テンポイント(皐月2着)……ダービー2人7着、菊3人2着
1988年 1番人気モガミナイン(皐月6着)……ダービー8人7着
��参考:1988年皐月賞2番人気のサクラチヨノオーは、皐月3着→ダービー3人1着

またも1976年が特異点となっているのと、1988年のモガミナインが人気過剰だったのを除けば、皐月賞を一番人気で負けた馬は、どこかで名誉挽回を遂げている。
尤もデータがいずれも古過ぎて参考にならないかもしれないが、繰り返すのが歴史というもの。それは競馬とて一緒だ。
レースの性質に隔世の感は否めないが、一方で2005年まで実に26年連続で一番人気が負け続けるジンクスが生き続けていた七夕賞や、ただ1頭を除けば歴代優勝馬が軒並み牝馬だけというアイビスサマーダッシュの例もある。オールカマーと秋の天皇賞とをぶっこ抜いた馬が未だに現れていないというのも、偶然の域を超えた事例である。
東京開催の皐月賞のジンクスが繰り返されないと、誰が言い得ようか。

さて俎上のオルフェーヴルは、4番人気で皐月賞を制した。
過去の例に当てはめれば、続くクラシックロードでは三連単の3着固定のヒモが妥当という見解である。
一方の皐月賞一番人気馬、サダムパテックの捲土重来はあるのか。
ダービーと相性がいい弥生賞の勝ち馬である点、東スポ杯の再現が出来ればあるいは……と思えるが、父系はもとより、母系を遡ってもスピード色が強い血で構成されている。不安要素は残っている。
一方のオルフェーヴルは、ほどよくスタミナ要素が散りばめられたバランスが良い血統構成だ。何より、全兄ドリームジャーニーが距離が伸びても活躍しているのが大きい。2500の有馬を勝ち、3200の天皇賞は敗れはしたものの3着に食い込んでいる。血統面から距離への不安は薄い。
ここまでの使い詰めが気にはなるが、皐月賞のレースを見る限りでは大崩れの可能性は低いように思える。

ジンクス通りで行けばオルフェ切りでパテック買いなんだけど、あの着差は決定的だよなあ……。
けど、あの馬体がなあ……。それとも、ステゴ産駒はステゴ産駒でも、今度はナカヤマナイトかなあ。でも鞍上が先生だしなあ。

今年のダービーは悩ましいこと甚だしい。実に実に。

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