メジロ牧場閉鎖へ

今日、かなりショッキングなニュースが報じられた。数多くの優駿をターフに送り続けた名門メジロ牧場が、経営の悪化を理由に5月20日付で閉鎖するというのである。
��ソース)http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042801000557.html
これで大手牧場の倒産は、21世紀になってから早田牧場、西山牧場に続く3例目。日本有数のオーナーブリーダーとして高いブランドバリューを有していただけに、衝撃の余波は小さくなさそうだ。



半世紀以上にわたり、競馬を牽引し続けてきたメジロ牧場。輩出した強豪馬は枚挙に暇がなく、メジロマックイーンやメジロラモーヌなど、記憶にも記録にも残る馬の名がその系譜に連なっている。自家薬籠とも言える天皇賞7勝は立派であるが、それだけに八大競走のうち最後までダービーを獲れなかったのが悔やまれる。(ちなみに、皐月賞も未勝利)
有珠山の噴火で火山灰が降り注いでも事業を続行し、受胎率が著しく悪かったメジロアサマから天皇賞馬メジロティターンを、さらにその息子マックイーンを生産して父子三大天皇賞制覇の金字塔を打ち立て、「継続は力なり」を結果で示していた。

そのメジロが倒産に追い込まれた理由。それは、所有馬の不振だった。
メジロ牧場はオーナーブリーダーである。他の牧場へ売却せず、全て自社名義で馬を走らせる手法を取っていた。確かに、売却益よりも賞金による収益のほうが高いは高い。
だがそれは、馬が走れば、の話である。競走馬の多くは大成せず、2勝以下の成績でターフを去るというのが現実である。一度も先頭でゴールすることなく引退する馬も決して少なくない。オーナーブリーダーは、ハイリスクハイリターンなのである。
どこかで方向転換を図り、馬の売却に踏み切ればまだ生き残れる目はあったのかもしれない。だが、長年のメジロの「伝統」がそれを阻んだ。豊吉のじっちゃんが、ミヤばあちゃんが長い年月をかけて築き上げた伝統が、それを許さなかったのである。

メジロの黄金期は、80年代から90年代にかけて訪れた。
メジロティターンが天皇賞親子制覇を、続けてメジロラモーヌが史上初となる牝馬三冠を達成。直後にメジロデュレンがGI2勝を挙げる活躍を見せ、87年生まれのマックイーン、ライアン、パーマーでGI7つを含む重賞18勝という荒稼ぎ。さらにはライアンの子ドーベルがGIを5勝、ブライトが天皇賞制覇と、90年代末まで一つの時代を築き上げた。

だが、ドーベルの引退を境に、メジロの馬たちはぱったりと走らなくなった。時折しもSS、TB、BTの御三家全盛の時代。レースセンスや瞬発力を要求されるようになったレースが合わなくなったのかもしれない。
メジロのGI馬は、2000年のメジロベイリーを最後に出現していない(その父がサンデーサイレンスというのは皮肉なものである)。
それどころか、2001年以降にGIIを勝った馬すらゼロ。障害を含めGIII馬が数頭という、往時を知る者にとっては寂しさすら覚える結果である。近年ではメジロの馬が重賞レースに出走すること自体、稀になっている。
馬は走らない。しかし人件費や飼育費はかかる。施設の維持費もかさむ。その結果、生産部門への投資がままならなくなる。投資とは、新しい牝系の導入と、近年の競馬にマッチした種牡馬の種付け料である。
日本指折りの牝系を抱えるメジロではあるが、優秀な牝馬であっても年をとる。年をとれば仔出しも悪くなる。
結果、優良な馬が生まれなくなり、さらに競走成績が下がり、資金繰りはますます苦しくなる、という負のスパイラルに突入する。外国産馬であるメジロダーリングを走らせたあたりに奮闘の様子が伺えるが、苦境の打破には至らなかったようだ。

メジロ商事が所有していた馬は、繁殖馬も含めて所有者移転の手続きが進行している。
メジロ牧場の施設も売却する方向で動いているようで、同場に繋養されていたメジロライアンなどの功労馬も引取先が決定しているようである。事業撤退は残念だが、馬たちが路頭に迷う事態に追い込まれなかっただけ良かったというものである。

日本の競馬界が社台の寡占状態になって久しい。
もはや馬産にロマンが介在する余地はなく、冷徹な成果主義のもと合理的で没個性的な馬産だけが生き残る状況がすぐそこまで来ている。
時を同じくして、20世紀末の欧州の競馬シーンを席巻した名種牡馬サドラーズウェルズの訃報が飛び込んできた。
こちらは後継馬が充実して当面父系は安泰といったところだが、デインヒルやストームキャット、ミスタープロスペクターの末裔たちの勢いにじわじわと押されつつある。
2つの知らせに、20世紀から21世紀へ、時代が移り変わった印象を受けた。

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