蹂躙されました

「じゃあ……そろそろ入れますよ」
男は慇懃に、しかし抗いがたい口調で私に囁くと、数分後に私の体を貫くであろうその物体を眼前でちらつかせてきた。
……黒い。そして長く、太い。想像していたものとまるで違う。
「いいですか、力を抜いて……」
言いながら、ゆっくりと私の体に押し入ってくる。硬く冷たい感触に、思わず私は身を固くした。
「辛い? 止める?」
口ではそう言いながらも、触手のように襞壁をなぞりながら、無遠慮に侵入してくる。こんなに太いだなんて。視界がぼやけてくる。細逕を通る感触が鈍い痛みに変わる。
「はい、中まで入りましたよ」
言うやいなや、男は私の中をぐちゃぐちゃとかき回し始めた。うねり狂う黒い物体の感触がはっきりと伝わってくる。不快感が臓腑を抉った。
「一番奥までいきましたよ……」
慇懃な口調を崩しもせず、男は私を嬲り続ける。デリケートな部分に差し込まれた刺激で、吐き気すら催す。一刻も早く、この忌まわしい物体を抜いて欲しかった。

私の願望を見透かし、そして裏切るかのように、なおも執拗に男は私の内側をかき回す。数秒が数分に、数分が数時間に引き伸ばされたような、地獄のひとときだ。
「さて、そろそろ抜きますよ……」
満足したのだろうか、男はゆっくりと私の中に挿し込まれたモノを引き抜き始めた。眼球だけ動かすと、私の中からずるずるとそれが引き出されるのが見える。何故こんなに焦らすようにゆっくりなのだろう。また涙が滲んできた。
程なくして、黒い物体は残らず引き出された。その表面は私の液でぬらぬらと光沢を湛え、陵辱を終えた後の愉悦に浸っているようにも見えた。
「お疲れさまでした、ではこちらへ……」
まだあの黒い物体が挿し込まれたままの感覚を身体に残しながらも、私は誘われるがままに足を動かした。

「えっと、十二指腸まで見ましたけど、潰瘍はありませんでした。胃壁が若干赤いですけど、特に異常ありませんね」
はい、つうわけで胃カメラ初体験記でした。(・ω・)
ポスターやらパンフレットやらに、「最近の胃カメラは直径4~5mmと細くなり、鼻から挿入するカメラもあります」ってあったから軽く見ていたんだけど、出てきたのは直径1cmはあろうかという黒い物体。安寿と厨子王の気分です。医療機器の進歩はどこに行ったんだよ。
無論そんなブツが鼻から入るわけはなく(つうか鼻から入れたら却って辛い)、口からグイグイですよ。言い付け通り前の晩から何も食ってなかったんで、吐瀉物リバース大会にはならなかったけど、キツイは痛いわで脳内パニック大放送ですよ。
うどんを丸のみするようにして、とアドバイスされたけど、こんなに硬くて長くて太いうどんなんて存在しねえよ。せめて「人間ポンプみたいな大道芸人になったつもりで」くらい言ってもらえば気が楽だったのに。
まあ、何にせよ異常がなくてよかったが、何か大事なモノを奪われてしまったような感覚だ。
まだ喉の奥が痛いし、カメラを挿し込まれたときの硬い感触が残っている。
穢されちゃいました。
あたいの純潔返してよ!(´・ω・`)

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