Prix de l'Arc de Triomphe Lucien Barriere (Group 1)
Longchamp 1m4f
1 Rail Link (GB) 4 A Fabre 3 8-11 S Pasquier
2 nk Pride 5 A De Royer-Dupre 6 9-2 C-P Lemaire
3 ½ Deep Impact (JPN) 2 Y Ikee 4 9-5 Y Take
4 2½ Hurricane Run (IRE) 1 A Fabre 4 9-5 K Fallon
5 2 Best Name (GB) 3 Robert Collet 3 8-11 O Peslier
6 snk Irish Wells 7 F Rohaut 3 8-11 D Boeuf
7 4 Sixties Icon (GB) 8 J Noseda 3 8-11 L Dettori
8 1½ Shirocco (GER) 6 A Fabre 5 9-5 C Soumillon
8 ran TIME 2m 31.70s (slow by 0.20s) TOTAL SP 122%
というわけで、今年の凱旋門賞は3歳馬レイルリンクが制した。戦前では古馬3強対決と言われながら、終わってみればやはり斤量に恵まれた3歳馬の勝利。レイルリンクがアレッジド級に育つのか、はたまたサガミックス級で終わるのか。答えは来シーズンに持ち越されることとなった。
2着には紅一点のプライドが鋭く差し込んできた。牝馬にはややきつい58kgを背負いながらも勝馬をクビ差まで追い詰めた末脚は立派の一言。サンクルー大賞典でハリケーンランを破ったのはフロックではなかった、というところか。
さて、ディープインパクト。七度目の正直は成らなかった。
ディープを取り巻くディスアドバンテージは戦前から囁かれていた。だが、ローテーションについてはともかくとして、他の要素は敗北に対する決定的要因にはなりえない。
当日のロンシャンは馬場はGood、地盤はFirmでかなり状態がよく、他のレースでは速いタイムが出ていた(2歳の1400mのGIが1分18秒台で決着していた。これは日本レコードより速い時計である)。凱旋門賞は当日の全レースの中で平均ラップが最も遅く、結果としてあのような遅いタイムでの決着となった。馬場が重かったわけでは、決してない。
3歳馬との斤量差は、無視できない存在だった。しかし、古馬で凱旋門賞を勝った馬は皆無ではない。十分勝てる負担重量なのだ。慣れない馬場との相乗効果、というならば、アウェーでかつ59.5kgを背負って勝利を収めたリボーやトニービンはどう説明するのか。さらに言えば、ディープを後方から抜いて2着に入線したプライドも古馬の負担重量である。
��余談だが、某SNSで「59.5kgはきつい。凱旋門もハンデじゃなくて別定にすればいいのに」というレスがあった。
凱旋門賞はハンデ戦ではなく、馬齢による定量負担である。ハンデ戦だったら、斤量差はこんなものでは済まないだろう。また、別定戦とは「それまでの戦績に応じて負担重量を決めるレース」であって、全馬が同量を背負うという意味ではない。
そもそも、別定などにしたら何を基準に負担重量を決めろというのか。レースの格による負担にしても、ディープは国際GIである宝塚記念を勝っているので全く意味がないし、他の馬も大半がGI馬だから、ただいたずらに斤量が増えるだけの話である。賞金による負担だとしたら、世界トップクラスの高額賞金国からの参戦馬は圧倒的に不利だ。
軽い斤量の3歳馬が有利だと喚くならば、昨年の有馬記念ではディープを破ったハーツクライのほうが重い斤量を背負っている。もう少し考えてから発言してもらいたい)
騎乗は「あれでよかった」とする声と「もうちょっと何とかならなかったのか」とする声とで意見が二分されている。俺は後者派だ。
ややもっさり気味のスタートながらも先団に取り付いてしまい、武が手綱を引く場面もあった。終始馬群のど真ん中でレースを進めるのは菊花賞で経験済みだったにしても、ちぐはぐな印象があった。
だからこそ、フォルスストレートの出口付近で早々に先頭に並びかけて押し切ってしまおうとしたのはいただけないように思えた。追い出しをもう少し遅らせただけで、結果は変わったのではないか。実況席で岡部元騎手が「まだまだ、まだ」と発してしまったのも分かる気がする。菊花賞はそれで押し切れても、凱旋門賞では通用しなかった。
とまあ、敗因に関して今更ああだこうだ言ったところで結果論でしかない。レースは既に確定し、ディープは3着という結果が手元に残っただけだ。強い馬はあらゆる条件を克服して先頭でゴールする馬である。ディープは速い馬だ。しかし、初めての欧州の舞台と負担重量に慣れず、展開に応じた自在性あるレース運びを出来なかった。それだけである。ぐだぐだと敗因要素を並べ立てて「今回の負けは、力負けじゃない」と呪詛のように繰り返し続けるファンに対して「惜しくても負けは負け。綺麗事を言ってもしょうがない」と結果を真摯に受け止めたコメントをした池江調教師は潔い。最も悔しい思いをした一人だろうに。
今年の凱旋門賞は、レースそのものより日本人ファンの熱狂振りが強く印象に残った。良い意味ではなく悪い意味で。
マスメディアが煽動した結果、ディープインパクトは競馬界を超えたカリスマ的偶像として日本に君臨した。だがそれは、ミーハーなファンを徒に増やしたにすぎなかった。
観戦ツアーは、ノリ的にはサッカーのワールドカップのそれと大差ないように思えた。馬券を買い漁った結果、単勝オッズを1.1倍。一体いくら買ったんだよお前らは、と問いたい。
最後の直線では日本の競馬よろしく怒号に近い歓声を張り上げ、ディープが破れたのを知ると悲鳴が飛び交う。明らかにロンシャンの風景から浮いていた。
パリジェンヌたちの目には、遠く島国からやってきた応援客がどう映ったのだろうか。ある者は眉をひそめ、またある者は冷笑を浴びせたのではなかろうか。いずれにせよ「Sports of Kings(貴族達のスポーツ)」という概念は当てはまらないだろう。
ここまで凱旋門賞で熱狂したのは、日本人くらいなものだろう。自国の最強馬が世界に挑むのだから興奮するのはわかるが、それでもちと加熱しすぎの感はあった。これが逆ならどうだろう。欧州最強馬がBCクラシックに挑む、となった時に、当地のファンはここまで入れ込むだろうか。
第85回凱旋門賞は、日本現役最強馬が3着に破れた、という事実に加えて、日本人の陳腐なナショナリズムをも露呈することとなった。競馬技術は世界に肩を並べても、競馬文化はまだまだ国内止まり、といったところか。
ディープインパクトの今後は未定である。
頭を掠めるのは、この後に控えているジャパンカップ、有馬記念をディープが連勝しても、今までのような熱狂的な声は、数段低いトーンとなるのではないか、という考え。
両レースを圧勝しても「慣れてる国内だとやっぱ強いねえ」「所詮は内弁慶か」と囁かれるのではないだろうか、というのは俺の杞憂に終わるのだろうか。
英雄の神話は絶頂を過ぎ、あとは終焉へと落ち込むだけである。だが馬は馬、なのだ。それ以上でもそれ以下でもない。
言いたい放題だね、俺。
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