DS96の父系

ダビスタ96発売から四半世紀以上が経った今、改めて種牡馬リストを眺めると「この時代って父系のバリエーションが多いなあ」としみじみ思う。1996年当時もノーザンダンサー系がマジョリティでミスプロがぐんぐん父系を広げていたけど、近年ではその傾向にますます拍車がかかっている。栄える系統があれば衰える系統も当然あるわけで、ダビスタに登場する父系の今を調べてみたら、1996年時点ではまだ活気があった系統がローカル血統になってしまったり、元よりマイナーだった父系はさらに勢力が縮小してしまい今や消滅寸前となっていたりと、大半が淘汰の荒波に呑み込まれてしまっていた。最新作のダビスタもヘイルトゥリーズンとノーザンダンサーとミスプロだけでリストの大半を占めているしなあ。そりゃ現実の競馬がそうなってんだからゲームもそれに沿うってのは当然ではあるんだけど、こうまでメジャー父系だらけだと情緒ってもんがないよね。現実では冷遇されているマイナー父系から強豪馬を出すってのも競馬ゲームの醍醐味なんだけど、それすら味わえないってのはなんとも世知辛い。

というわけで、DS96に収録されている父系をざっくり俯瞰して、当時の状況と今の状況、DS96における扱いなんかを振り返ってみようと思う。

ニアークティック~ノーザンダンサー系①

20世紀中期に現れ、あっという間に血統地図を書き換えてしまった大種牡馬ノーザンダンサー。日本の競馬界も例外ではなく、11年連続でJRAのリーディングサイアーの座に就いたノーザンテーストを筆頭に、80年代から90年代にかけて直系産駒が大レースを席巻した。

ただ、90年代なかばに輸入種牡馬、とりわけサンデーサイレンスの産駒が走るようになってからは状況が変わり、現在日本は世界でも珍しい「ノーザンダンサー系がリーディングサイアーになれない国」となっている。

ダビスタ96がリリースされた1996年はまさにその端境期に当たる。まだノーザンダンサー系の影響力が大きかったこともあって、ゲーム内には数多くのノーザンダンサー系種牡馬が収録されている。デフォルト・公式パス種牡馬164頭のうち、ノーザンダンサーの直系は実に50頭にものぼる。スイフトスワロー、アンバーシャダイ、アサティス、ノーアテンション、ラシアンルーブルといったDS96最強格とされる種牡馬もすべてノーザンダンサー系である。

ニアークティック~ノーザンダンサー系②

ノーザンダンサー系その2は、自身はダビスタに登場していないものの現在では繁栄している系統、あるいはかつては大きな勢力を誇っていた系統を扱う。具体的には、リファール系、ストームバード系、ヴァイスリージェント系である。ストームバードからはストームキャットが、ヴァイスリージェントからはデピュティミニスターが出現して父系を大きく発展させたのに対し、リファール系は著しく規模が縮小してしまっている。

ニアークティック~ノーザンダンサー系③

ノーザンダンサー系その3は、1と2で取り上げなかったノーザンダンサー直系種牡馬に触れる。日本にも多くのノーザンダンサー直仔種牡馬が輸入されており、ダビスタに登場する種牡馬以外にもニジンスキーの全弟ミンスキーやノーザンテーストの全弟サドンソーなどがいたものの、いずれもノーザンダンサー系の中ではマイナーな存在であり、現在ではその多くが断絶ないしはそれに近い状態となっている(ついでに、ノーザンダンサーの全弟ノーザンネイティヴも輸入されているが、こちらも父としては失敗に終わっている)。日本へ輸送される途中に急死しちゃって1頭も産駒を残せなかったテイトギャラリー(サドラーズウェルズの全弟)が無事だったら、どうなっていたんだろうねえ。

ニアークティック~アイスカペイド系

ニアークティックの直系はノーザンダンサー系が圧倒的なシェアを誇るが、一方でノーザンダンサーを経由しないアイスカペイドの系統も生き残っている。ノーザンダンサーの猛威に埋もれた形となったが、アイスカペイドからは優秀な産駒が多く出現し、それら産駒の活躍によって北米リーディングで2位にランクインしたこともある。DS96にも非ノーザンダンサーのニアークティック系種牡馬が3頭収録されており、そのいずれもがアイスカペイドの直系子孫である。アイスカペイドはノーザンダンサーと同じくニアークティック×ネイティヴダンサーの組み合わせなので、ノーザンダンサー系締めのアプローチがそのまま通りやすい。